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2014年12月19日(金)

アクセシビリティ=マシンリーダブル

これは、Web Accessibility Advent Calendar 2014の19日目のエントリーです。
日に日に(私の)緊張感が高まり、ついにエントリーした19日目となりました。

テーマは「アクセシビリティ=マシンリーダブル」です。広く普及した言葉ではないですが、このブログを読んでくださる方の多くは、ご存知なのではないでしょうか。

情報バリアフリーポータルサイトの作成や更新を担当する弊所(NPO法人アイ・コラボレーション神戸)には、肢体不自由・視覚障害・知的障害・精神障害など、何らかの障害手帳を持つ人が12名勤務しています。
障害を価値として障害特性を活かして、ユーザ評価・試験・ウェブアクセシビリティ対応のサイト制作など、アクセシビリティに関する対応業務を行っています。
以下は先日行ったユーザ評価の中で公開OKと言ってくださった方の写真です。口に棒をくわえて、テンキーで操作していらっしゃいます。
ユーザ評価風景写真

ユーザ評価をはじめアクセシビリティに関する事業を行う中で、自治体や社会福祉協議会さまから、JIS X 8341-3:2010の試験や、方針や運用ガイドライン作成をご依頼いただいたりします。弊所にご依頼くださるお客様は、ありがたいことに「当事者の意見が聞きたいから」と言ってくださいます。

そこで方針やガイドライン作成についての打合せで、実装項目と理由をご説明し、対応をご相談します。一部をピックアップしてご紹介します。

  • 私:「文字色と背景色のコントラストが足りなくて、見にくい箇所がありますね。」
  • お客様:「ああ、見にくいですね。高齢者や視覚障害者の方はもっと見にくいですよね。直します。」

コントラストは、ご理解していただきやすいような気がします。
ただ、構造化というのが、なかなか難しいです。比較的ご理解いただきやすい「見出し」の場合…

  • 私:「見出しタグがきちんとついてません。見出しタグがあればブラウザやスクリーンリーダーで文章を読み飛ばすことができますが、それができない状態です」
  • お客様:「CMSを改修するのでテンプレートを用いたページと新しいページは改善できます。ただ、古いファイルすべてに見出しをつける修正は困難です。」
  • 私:「古いファイルでも、アクセス数が多いファイルについては対応する等は難しいでしょうか?」
  • お客様:「スクリーンリーダーを使ってる方すべてが見出しタグを読み飛ばす機能を使っていて、無いと困る状態なら、アクセス数と言わず、大変でもウン万ページすべてやりますが、どうですか?」
  • 私:「私の知っている全盲の方々では、三分の一以上くらいの割合で使っていますが、すべて…ということはないです…。でも、増えてます。」
  • お客様:「では、過去のファイルについてもアクセス数上位からできる限り対応し、毎年継続してその作業をしていくことで、見出しタグがきちんとついてるファイルを増やしていきます」

という、やりとりをしたことがあります。

本当に素晴らしいお客様で、ご予算と職員のご負担を考えると、結果的には無理をしすぎずに継続していただける良いところに落ち着いたと思うのですが、私自身がダメダメだなぁ、と思います。福祉という方向性で話を進めると限界を感じます。

高齢者や障害者の方々の現状に合わせるのは大事ですが、それでは理解しにくい項目がJIS X 8341-3:2010には多くあり、現状ではまだスクリーンリーダーが対応していない項目やユーザが実践していない項目もあるのではないかと思います。

「アクセシビリティ=マシンリーダブルへの想い」

福祉という切り口では限界を痛感したので、今はマシンリーダブルという価値観を共有したいと考えるようになりました。
障害者といわれる人は、視覚障害を持ってスクリーンリーダーを利用している人だけでなく、身体不自由で、視線で操作している人や、音声で操作している人や、様々な人がいます。
以下はWindowsの音声認識機能の写真です。
スクリーンショット

特に音声での操作について、今では多くの人が使用しているスマートフォンにも音声操作機能があるので、一般の方にも馴染み深いと思います。
以下は私のiPhone6のsiriの写真です。
ご用件は何でしょう?

自分はスマートフォンの音声操作機能を使っていないと言う方も、ウェアラブルデバイスが主流になれば、音声操作が今より普及し、使用するケースが出てくるかもしれないし、新しく視線操作なんて機能がつくかもしれない。さらに、もしかしたら、脳波で操作なんて未来的なデバイスが出てくるのかもしれないです。

さまざまなデバイスやソフトが、人間が情報を取得して操作することを助けていて、誰もがその恩恵をうけています。デバイスやソフトの開発には世界標準といえる仕様や規格があり、情報を公開するのにも仕様や規格があります。それがWCAG2.0(日本語訳)であり、WAI-ARIA1.0(日本語訳)であり、 ISO/IEC 40500:2012(WCAG2.0と同じ内容)であり、日本ではJIS X 8341-3:2010であると思うのですが、なかなか理解が難しいような気がします…。

「アクセシビリティ=福祉」は間違ってはいないけれども、それだと特別な配慮になってしまうので、「アクセシビリティ=マシンリーダブル」を体感してもらえる方法はないかと悶々と思った挙句、イベントを企画しました。

「アクセシビリティの祭典にご協力お願いします」

長々となりましたが、実は告知と募集です。
2015年2月3日火曜日に神戸で「アクセシビリティの祭典~テーマ:アクセシビリティ=マシンリーダブル~」というイベントをする予定です。

音声で操作するデバイスやソフト、視線で操作するデバイスやソフト、脳波で操作するデバイスやソフトを展示したいと思い、メーカーさんに展示をお願いするにあたり、チラシを作成しました。
アクセシビリティの祭典チラシのぼやけたイメージ写真

また、セミナーや対談なども行いたく、メインの対談はこちらの予定です。
「メイン対談テーマ:未来のアクセシビリティを考える」
(ウェブアクセシビリティ) 株式会社インフォアクシア 代表取締役 植木 真様 & (ウェアラブルデバイス)神戸大学大学院工学研究科 教授 塚本 昌彦様
ファシリテーター バスタイムフィッシュ代表 村岡正和様

詳細は以下

まだ企画中で、関西の方々のアイデアや協賛やご協力(ボランティアスタッフや告知のお手伝い)をしてくださる方を募集しています。今なら「こんな展示して(させて)」「こんなセミナーして(させて)」というご要望も歓迎です。もしもご興味がある方は、ぜひぜひぜひお気軽にご連絡ください。

アクセシビリティの祭典実行委員づくりを計画中ですが、準備期間中のお問い合わせは、情報バリアフリーポータルサイトお問い合わせページのメールフォームよりご連絡ください。「実行委員しますよ」という方も大歓迎です。お電話の方は078-302-9811(NPO法人アイ・コラボレーション神戸 北山)までお願いいたします。

北山ともこ